チアキどの〜
昔SNSで、こっそり監視カメラで生活を覗き見できてパンツが差し入れられるゲームがあると知り衝撃を受けた。
こっそり生活を覗き見、下着の差し入れ……なんかびっくり仰天の世界。楽しければ割となんでもオッケーだけど、これだけはできないかもなんて当時は思った。
それから月日は流れ社会人になり、ある程度自由にお金を使えるようになって、ふとそのゲームのことを思い出した。この時ちょうど何か乙女ゲームがやりたくて探していたというタイミングだったというのもある。
買う前に少し調べてみると、主人公グラなし・どの選択肢でもゲームオーバーにならない・攻略対象が1人に絞られている為、じっくり交流できるということがわかった。
……完璧!
少し調べただけでも私好みの乙女ゲームだ。しかも続編まで出ているということは、きっと人気があるんだろう。 監視カメラがなんだ。下着の差し入れがなんだ。こんなにも完璧な乙女ゲームはない。
これを見送ればこの先こんなに好みに合う乙女ゲームは見つからないんじゃないだろうか。それならば先入観は捨てて一度やってみよう。 そう考えて、すぐに私は囚われのパルマとその続編にあたる囚われのパルマ Refrainを購入したのである。
なんてかっこよく綴ってみたけれど、やってみればもう……
チアキどの〜
しか言えなくなってしまいました。それにチアキどののファンですと自信を持って言えるように、ちゃんとした人間になりたいと思うようになりました。 (リングフィットも買った。)
チアキどの、現実にいたらいいのに。もちろんいてもいなくても好きなことに変わりはないけれど。 でももし実際にいれば、名前は漢字でどう書くのか聞けるのに。そう思うとやっぱりいてほしいなと思ってしまいます。 でも、知ることができないからこその楽しさも。
"かしま"だけでもいくつか出てくるし、"ちあき"もたくさんの漢字があります。いつかチアキどのが好きな方とお会いできたら、どんな漢字なのかどうか話してみたいです。
そんな風に妄想だったり感想だったり、ゆっくり気ままに書いていけたらいいなと思います。
※DLCも含めネタバレを予告なく行なっています。未プレイの方はお気をつけくださいませ。
◎Prologue 感想
キレイな朝焼けが海に反射している背景と、情感たっぷりの文が静かに胸に染み入る冒頭……波が船にぶつかって白い泡になり、そして消えていく様子が描かれているところが切ない印象で特にお気に入りです!
"泡になって消えていく"と聞いたり見たりすると、私はまず最初に人魚姫が浮かんできます。
愛がなくなったわけではないのに、避けられない別れ……やりきれないし、ものすごく悲しいことなのにどこか美しい印象すらもあります。
それはきっと、人魚姫が消えることで愛し合っていたという事実だけが残り、愛が永遠になったからではないかなと思います。
生きて長い時を経ることによって、気持ちはどんどん変化していきます。それは変化したくないと思っていたり、変化することはないと確信を持っていたとしてもいつか無情に形を変えていきます。
おそらく人は常に何かしらのものから影響を受けているので、形を持たない気持ちは知らず知らずのうちに変形していくのだと思います。
しかしそれは人魚姫の死によって、もう2度と形を変えることがなくなりました。完成された"愛している"だと言えるのではないでしょうか。
でも、完成した"愛している"って何なんでしょう。
愛している人がそばに居なくなってしまってもほしいものなのでしょうか。永遠に美しいものではあるけれど、それは一緒の時を過ごすことよりも良いものなのでしょうか。
わたしはわがままだから、その美しいものだけが残るよりも一緒に生きていきたいと思ってしまいます。
chapter8では、チアキどのも人魚姫のように愛しているという気持ちだけを残して消えていきます。
美しく永遠のものだけど、もう2度と一緒に形を変えながら生きていくことのできない"完璧な愛"ですね。
それはやっぱり、とてつもなく寂しいと思います。
愛し合っていた事実だけ残ってるとか本当に無理。むしろいっそのこと何も残らないほうがずっとましです。でも知ってしまったから、もう知らなかった時に戻るなんてことはできません。なんという生き地獄!
そりゃあ相談員も、冷たい海風にさらされることもいとわず生まれては消えてゆく泡をただひたすらに眺めてしまいます。おじいさんの心遣いがしみてしみてしょうがないよね。
しかし初プレイ時は、こんな気持ち悪いことを妄想してしたためることになるほど、チアキどのを好きになるとは思っていませんでした。
銀座のような街の路地で倒れる男性。手には包帯がまかれており、そしてそばにはあの黄金の蜂。そして「メリサ」と女性の名前らしき言葉を呟いている……
目の前に倒れている美青年ではなく、これは一体なんの事件なんだろう?どんな謎が隠されているんだろう?ということがゲームを始めてまず気になっていました。事前に調べたときにサスペンス的なストーリーですと書かれていた印象が強く、そこに注目していたのもあります。
それにしても、当初の乙女ゲームをやりたい!という己の欲望からズレたおかしな着眼点ですね。
逆転裁判などの事件解決もの(?)が大好きなのと、メリサがあまりにも女の人の名前っぽかったので、"この人は大切な人を置いてきてしまったのかもしれない"という考えがまず浮かび、ラブよりも何よりも事件解決が先だよなあと思ってしまったからかもしれません。
相談員(プレイヤー)が証拠隠蔽の疑いをかけられて島から出られなくなるところも、わくわくしてしまいました。絶対に謎を暴いてやるぞ!と息巻いていたのも大きかったです。
しかし、それを差っ引いても……
初回面会時のチアキどのとフォーリンラブしようと、できると、したいと思えた人はいるのだろうか……???
わたしは正直、できませんでした。
「コンクリートロードはやめといたほうがいいと思うぜ」と言い捨てられて、家に帰り麦茶を直でがぶ飲みし「何よ!」と力任せに強く冷蔵庫を閉める月島雫ちゃんのような気分になりました。笑
なんだろう、あのカンジ……
あんなにぽんぽんと刺々しい発言ができるところを見るに、頭がすごくいいんだろうと思います。回転が速いから言いたいことの飾り付けもはやいのかなって。(ここと後半の話し方の違いを思い浮かべると声優さんあっぱれ……)
チアキどのの立場を考えると、まるでシーハイブの回し者のような相談員に冷たく当たるのはわかるけど……それにしてもすごかった。笑
初めて対面したときには、若々しいハルトどのやアオイくんにはない20代後半くらいの落ち着きと、垂れ目による優しそうな感じが好印象だったのに、それが突然吹き飛ばされて跡形もなくなったところが衝撃的でした。笑
優しそうな見た目とは裏腹に、高圧的でツンケンしていて隙がない。芝居がかったような話し方がどこか不気味で近寄りがたいチアキどの……
しかし、そんな風に敵意剥き出しでこちらに一切好かれようとしていない態度が逆によかったところでもありました。
ハルトどのやアオイくんに比べると、あまりにもわかりやすく敵意剥き出しでこちらも取り繕おうという気持ちが一切働かなかったから。笑
特に初対面の人と対峙していると無意識でも少なからず気を使った(言葉を選んだ?)会話をしがちなのですが……
チアキどのにはかえってそれが悪い方向に働くという。
だからこそゴーヤキャラメルの反応が楽しみだったし、折り鶴はもしかしたら捨てられるかもしれないと思ったと素直に選択肢を選べました。ゲームのキャラクターとはいえ家族以外の人にこんなにもあけすけに話ができるってそうそうないし、むしろ初めてだったかもしれない。
なのでラブの感情は湧かなくとも、少しずつ仲良くなって刑事物のバディみたいに謎を解いていきたいなあ〜というのがプロローグ面会でのチアキどのに対する気持ちの着地点でした。
本当に、ラブのラの字もないはじまりですね。
*芝居がかった口調の謎
「ご褒美くれるの?」や「君だけに」等……
この時のチアキどのはやけに芝居がかったような、大袈裟なような台詞っぽい話し方をしている気がします。
後半なりを潜めるけれど、甘々モード?メロメロモードになってくるとまた出てくるような印象だったので割とそういう時もあるよ〜くらいの軽い感じなのでしょうか。
でもそれにしては、気を許したあとのチアキどのとの印象の隔たりが強く不思議に感じられます。
"甘さと緊張を含んだ"
チャプターの終わりにはチアキどのの印象について冒頭の独白のような文体でそんな風に綴られていました。
チアキどのが置かれている今の状況と、芝居がかった口調、そして甘さと緊張……
安直ですが、文字通り(?)チアキどのは演じていたのかなと思います。
この時チアキどのは誰も味方がおらず、疑いをかけられて閉じ込められています。脱出しようにも窓もなく、外からトイレまで丸見えになるような監視カメラつきの部屋ですごしており、誰かの助けがなければ外に出ることは不可能な状況です。
そこに突然相談員がやってきます。須田さんから無線で指示を受けていたとしても、素人っぽく隙だらけの人間に映ったのではないでしょうか。チアキどのにとってはこの状況から抜け出すための千載一遇のチャンスです。
だからこそ高圧的な態度でまずは自分が優位に立ちつつ、芝居がかった口調で甘さも含ませた演技をすることにより相談員をコントロールしようとしたのではないでしょうか。(後々自分の有利な方へことが運ぶように)
緊張は、これを逃したら次はないかもしれないという焦りからくるものかな〜と思います。
そして次に気になるのが、"いったいどこでその振る舞い方を身につけたのか"です。
わたしが1番に思い浮かんだのは養父のクロイワでした。
もしかしたら、日常的にそういう態度を取られ続け無意識のうちにそういった方法を学んでしまったのかもしれないなあと思います。
小さいチアキどのがそんな辛い思いをしていたとは考えたくはないけれど、可能性としてはあるのかなと。
相手を萎縮させるような強い言葉と、それらがまるであたかも相手のためだと印象付けるような唐突な甘い言葉……イメージとしてはモラハラのような感じで、あの日を迎えるまでは長らく支配されてきてしまったのかもしれない。
しばらく頻繁に出てきていた「君だけに」というフレーズが特にその印象を受けました。孤児院から"選ばれた"ことも含めて。ことあるごとにクロイワは使っていそうな気がしてしまいます。(楽しくない妄想ですね。)
chapter2あたりではもう出なくなったような気がしますが、最初の頃はBIOSHOCKの「恐縮だが」と同じ運命を辿るのではないかとビクビクしていました。ちがっていてよかったです!笑
それかもしくは、チアキどのが学んだという帝王学にそんな振る舞い方の指南項目でもあるのかなあとも思っています。上の妄想はこじつけで、わたしの頭の中の出来事でしかないのでこっちのほうがありえそう。
帝王学の本も今度読んでみようかなあ〜チアキどのをより知ることができるかもしれないと思うと、まだ少し先の楽しみに取っておきたいような気もします。笑
*演じ続けるチアキどの(?)
チアキどのは、もしかしてずっと演じ続けてきた人なんじゃないだろうか?という妄想がすぎる妄想です。
「力のない子どもは、大人に気に入られるように演じなければ生きてゆけない」
金色のコルダ3、我らが冥王・冥加がそんなようなことを言っていたのがひどく印象的でした。
突然天涯孤独になってしまったチアキどのも、もしかしたらそうだったんじゃないだろうかと思います。
孤児院にいた頃は決してそんなことはなかったでしょう。だけど、クロイワの家に来てから諜報員として活動している今まではどうだったでしょうか。
子どもと呼べる年齢ではなくなった直近まで、チアキどのは生きるために演じ続けていたのではないでしょうか。
クロイワの家に来てからは、きっといい子であり続けようとしたのではと思います。家族という名前がつく関係の人に愛してもらえるように。諜報員になってからは万が一にも大切な人ができないよう、決して心の内を見せず誰とも関わらなくても平気な人間のように。
それでも、折り鶴なんてすぐ捨てそうとだと思ったと言われて「人からもらったものを捨てるわけないだろう」とすぐに返すチアキどの。
隙がなく他人に興味はない人間を演じている時に被っている仮面がついポロリと落ちて、チアキどののあたたかさに溢れた内面が出てしまうところが大好きです。
つづく